名古屋市の特殊事情
近年、多くの自治体が犬猫の「殺処分ゼロ」を標ぼうし、対策を進めた結果、平成16年度から令和4年度までの18年間で、猫の殺処分数は約25分の1にまで減少しました。(環境省:動物愛護管理行政事務提要より)
減少の要因は動物愛護法の改正
中でも平成24年度から25年度にかけて殺処分数は大きく減少しており、これは平成24年の動物愛護法改正により、自治体が動物取扱業者や飼い主からの引取りを拒否できるようになった影響が大きいと言われています。ところが、名古屋市の推移は全国と異なり、その前年の平成23年度から24年度にかけての減少幅が最大で、ー48%とほぼ半減しています。
また、「猫の引取数」も-43%と同様の減少が見られることから、「殺処分数」の減少は「引取数」減少の結果と言えそうです。では、なぜ名古屋市では平成23年度から24年度にかけて「猫の引取数」が急減したのでしょうか?
猫の引取り有料化のインパクト
実は、名古屋市は平成24年度に犬・猫の引取り窓口を16保健所から動物愛護センターに一元化した上で、引取りを有料化しました。
これについては調査データが存在しないため断言はできませんが、引取数にこれほど大きなインパクトを与える要因が他に見受けられないことから、保護猫関係者には、引取りの有料化が引取数減少の主因と考える人が少なくありません。
では、本当に「のら猫」は減っているのか?
のら猫については学術的な調査データが乏しいため、「のら猫」の増減を正確に知ることは困難ですが、その増減を推測できるデータは存在します。それが【弊獣数】(へいじゅうすう)です。
「弊獣」とは事故や病気などで死亡した動物のことで、【弊獣数】は当局によって回収された動物の死体の数を指します。猫の場合、交通事故などで死んだものが大部分を占めるため、「路上死」や「交通事故などによる死体の回収頭数」とする所が増えています。ここでは分かりやすく「路上死」という言葉を使います。
路上死する猫は、殺処分される猫の26倍
上のグラフを見て、おそらく皆さんは猫の【路上死】が、殺処分数より遥かに多いことに驚かれたことでしょう。
昨今、犬猫の「殺処分ゼロ」を目標とする自治体は少なくありませんが、猫の「殺処分数」より【路上死】のほうが26倍(令和4年度)も多いことは、一般にほとんど知られていません。花の木シェルターでは、まず、この事実を一人でも多くの方に知っていただきたいと考えています。
また、もう一つ知っていただきたいことがあります。それは猫の不妊手術と路上死の関係です。
名古屋市は、市民が地域猫やのら猫の不妊手術を行う場合、実施者の自己負担額が軽減される制度を平成25年に新設しました。(現在の自己負担額は、めすの避妊手術で4,000円、おすの去勢手術で2,000円)
この制度に基づき、名古屋市・市民・保護猫団体が協力して不妊手術に取り組んだ結果、実施件数が着実に増加し、それに伴って【路上死数】が減少するという良循環が生じています!
不妊手術で【のら猫】は着実に減少!
「のら猫」はそもそも【生きる】ことが難かしい
のら猫の生活は、交通事故ばかりでなく、飢えや寒さ、ケガや人間からの虐待、そして病気など苦難の連続です。その結果、飼い猫の平均寿命が15.2歳であるのに対し、のら猫は2.3年と極端に短くなっています。のら猫の多くは、そもそも「生きる」ことが困難なのです。
前述のとおり、不妊手術を実施すれば「のら猫」は確実に減らせます。またそれが、猫の発情期の鳴き声やエサを求めてゴミをあさるといった行為を減少させ、市民生活の質改善にもつながるのです。
花の木シェルターは、殺処分ゼロの先にある【のら猫ゼロ】のため、名古屋市内に生息する「のら猫」全頭の不妊手術の【2年間連続実施】を目指しています。名古屋市内にお住まいの皆様には、花の木シェルターの「名古屋のら猫不妊手術補助」をご利用になり、不妊手術にご協力いただけるようお願いする次第です。
また、全国の猫を愛する皆様には、「保護猫譲渡」と「のら猫の不妊手術推進」という花の木シェルターの活動にご支援・ご協力を賜れれば大変有難く存じます。
【生まれて来るのら猫ゼロ】は、夢物語ではない。
【生まれてくるのら猫ゼロ】は、けっして夢物語ではありません。しかし、皆さまのご協力無しには到底実現できません。皆さまのご協力を重ねてお願い申し上げます。